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2016.06.26
四角友里さんに聞いた-初めての山歩きでそろえたい山ガールアイテムとは?
新緑が気持ちいいこの時期は、山歩きデビューを計画している人もいるのではないでしょうか。せっかくならファッションやグッズも、自分らしいスタイルで歩きたいですね。そこで、日本で山スカートを広めたアウトドアスタイル・クリエイターの四角友里さんに、ファッション性と機能性も兼ね備えたスタイルを教えてもらいました。
山でも自分らしく。そんな思いを叶えてくれた山スカート
シューズは、足首をホールドできるミドルカットが安心
かいた汗で蒸れない、防水透湿性のあるレインウェア
体にフィットするザックなら、荷物が重くても疲れにくい
飲み物、おやつ、地図etc. 当日必要な持ち物は?

山でも自分らしく。そんな思いを叶えてくれた山スカート

山スカートを日本中に広め、機能性とファッション性が両立した山スタイルを提案し続けている四角さん。現在、アウトドアウェアのプロデュースも行う四角さんが、初めて山スカートと出会ったのは2004年、ニュージーランドでのことだったそうです。

「私が山歩きを始めた頃は、ファッション性まで重視したウェアがまだ日本にはあまりなかったため、山の中では自分らしさは我慢しようと思っていました。でも、初めてニュージーランドでトレッキングをした時に、大きくて重そうなザックを背負っているのに、かわいらしい山スカートをはいて颯爽と山歩きを楽しむ女性に出会ったんです」 それ以来、山の中でも自分らしい装いでいられるよう試行錯誤を繰り返してきたという四角さん。どのようにアウトドアウェアを選べばいいのでしょうか?

「機能性を第一に考えた上で、それに加えて自分らしさを大切にセレクトした装いが一番ですね。最近はかわいいデザインもたくさんあるので、その中から、普段のように自分の心が惹かれるものを選んで下さい。また、自然の中の色、例えば葉っぱやお花、空、大地の色などの中から自分の印象に残っている色と同じ色をウェアに取り入れるのもいいと思いますよ。目を引く色は1点に絞ったり、帽子や足元など小物の色を統一するとバランスがよくなります」

シューズは、足首をホールドできるミドルカットが安心

山歩きの「三種の神器」と言われているアイテムには、トレッキングシューズ、ザック、レインウェアがあります。その中でも、最初に購入したいのがトレッキングシューズとのこと。 山の中は、晴れていても水溜りが残っていたり、岩や木の根が露出していて滑りやすかったりするため、普通のスニーカーでは危険なのだそうです。

シューズの中には山用素材の厚手靴下を。クッション性やフィット感があり、汗をかいても蒸れにくいので靴擦れがしにくい
「トレッキングシューズは靴裏が滑りづらくて、防水透湿性があるものを選びましょう。アップダウンがあるルートなら、足首をホールドしてくれるミドルカットのシューズがおすすめです。足首の捻挫を防いでくれるうえ、小石が侵入しにくいという利点があります。また、最初は重厚なタイプよりも、軽めの靴を選ぶのもポイントです」 また、シューズの場合、色やデザインよりもフィット感がなにより大事。四角さんは靴紐の色を変えてみたり、靴下にお気に入りの色を持ってきたりすることでアレンジしています。

かいた汗で蒸れない、防水透湿性のあるレインウェア

レインウェアは、貸してくれる人がいるなら最初は人に借りてもOKとのこと
レインウェアは、高機能な素材・形に加えて自分の好きなカラーやデザインも重視して選んでほしいと四角さん。急な雨でテンションが下がっても、お気に入りのレインウェアを着るチャンスと捉えれば、前向きな気持ちで歩けそうですね。 また、選ぶ際に重要なのが防水性に加えて、蒸れを外に逃がしてくれる透湿性に優れていること。

「普通のビニールガッパだと、歩いているうちに汗をかいて中が蒸れます。山では立ち止まったり、太陽が陰ったりしただけでも急に寒くなるので、汗で体が湿ったままだと、思った以上に体温を奪われてしまうんです。また、ポンチョなどは山歩きでは動きにくい場合もあるので、最初は上下別々のものを選ぶようにしましょう」(同) 「山の天気は変わりやすいと言いますが、実際、平地では晴れていても山の上では雨ということもよくあるので、晴れていてもレインウェアは持って行って下さいね。レインウェアって雨の時だけ使うイメージがあると思いますが、実際は防風・防寒ウェアとして使うことも多いんですよ」(同)

体にフィットするザックなら、荷物が重くても疲れにくい

ザックは、遠足程度のハイキングであれば日常使っているリュックサックでも代用できますが、長い時間歩くなら、登山用のものを選んだほうが体にフィットし、荷物が重くても疲れにくいため快適です。

「私が日帰りの際に使っているのは、軽さを重視した『ウルトラライト』系と呼ばれるタイプのザック。無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインで、街でも使っています。また、選ぶ際にザックも色を重視しますね。私は自然の中で馴染む色が好きです」(同) 日帰りの場合は、25L程度の大きさを選ぶといいそう。少し大きく感じるかもしれませんが、帰りにお土産を買ったり、秋頃に厚手のフリースを持っていく時にも便利です。いずれ調理道具をもって山ごはん…となっても対応できます。

四角さんプロデュースのマーモットのウェア。左は体温調整に便利なフリースのカーディガン(14800円)、右は消臭機能のある速乾素材のTシャツ(4900円)
以上が登山の際に必要な三種の神器。そのほかのウェア選びで重要なポイントとは? 「歩くと汗をかき、止まると冷えるので、重ね着をして体温調整することが大切です。夏なら、Tシャツに、体を保温するフリースや化繊ジャージ、山シャツなどを持参しましょう。それでも寒くなったら、その上からレインジャケットを防寒着として着ます」

ショートパンツや山スカートには、アウトドア用のレギンスや機能性タイツを合わせて
「ボトムは、しゃがんだり大きく足を広げる場面もあるので、足の上げ下げがしやすいストレッチ入りのズボンがいいですね」(同) ウェアの素材は、汗をかいてもすぐに乾く化繊やウールなどを選ぶことが重要なポイント。もし、手持ちの普段着の中に、これらの素材のものがあれば、山歩きで使っても大丈夫だそうです。ちなみに、下着も速乾性があり、締め付けのきつくないものを選ぶといいそうです。

飲み物、おやつ、地図etc. 当日必要な持ち物は?

おやつは自分が食べやすいものでOK。飲み水は500mlのペットボトル2本分は用意しよう
「山歩きをしていると、想像以上に喉が乾きます。ペットボトルでもいいので、必ず飲み水を用意して。往復5時間くらいの山ならば、最低でも1L以上は必要です。スポーツドリンクだけだと逆に喉が渇くので、水と2本持ちにするか、薄めて持って行きましょう」

四角さんは、行動食はボトルに入れてザックの外側のポケットに
「山歩き中はこまめにエネルギー補給することがバテない秘訣。そのため、途中で食べるおやつ(行動食)として、自分が普段食べているお菓子などを持って行って休憩時に少しずつ食べましょう。甘いものとしょっぱいものをバランス良く用意するといいでしょう。お昼はおにぎりやパンなど、すぐに食べられてエネルギーになる炭水化物がおすすめです」(同) 他に必要なものとしては、帽子やタオル、地図や救急セット、ヘッドライト(ミニランプ)など。軍手もあると便利だそうです。備えあれば憂いなし。準備万端で挑めば、きっと快適な山歩きが楽しめますよ。
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宇都宮薫 構成:相馬由子
取材協力/四角友里さん

執筆、トークイベント、ウェアのプロデュースを通し、女性のためのアウトドア普及活動を行っている。山スカートの第一人者。現在『山歩みち』『日本シェアリングネイチャー協会』などでの連載、『ランドネ』をはじめとする登山・アウトドア雑誌への寄稿も多数。著書に『デイリーアウトドア』(メディアファクトリー)、『一歩ずつの山歩き入門』(枻出版社)がある。
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