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2015.03.19
京都・仁和寺の門前「いっぷく茶屋」で、桜色に染まった甘味にうっとり
京都の街がほんのり薄紅色に覆われる桜の季節。お花見のあとには桜のスイーツをいただくのも楽しみです。桜をこよなく愛する店主夫妻が営む「いっぷく茶屋」では、桜風味のやさしい甘味がお待ちかねですよ。
旅する人がひととき憩える居心地のよい甘味処
桜守の夫妻が心をこめて作る桜の甘味
京都の桜シーズン最後を飾る仁和寺の御室桜

旅する人がひととき憩える居心地のよい甘味処

昔ながらの茶屋の趣がある店内。長居したくなるおだやかな空気が流れている
嵐電の北野線御室仁和寺駅で降り、まっすぐ北へ続く道の先に目を向けると、世界遺産・仁和寺の二王門がどっしりと構えています。「いっぷく茶屋」はその門前にある甘味処です。 店主の安田圭吾さんは、江戸時代から300年もの長きに渡って続いてきた桜守の8代目。小さい頃から慈しむように桜に親しんできました。”旅の途中、つかの間でもほっとできるような場所にしたい”との思いから、1989年にお店をはじめました。(※桜守:桜の木を見守り、樹木の病気や傷には手当てをほどこす植木職人) 店名を白く染め抜いた赤い暖簾が目印で、昔ながらの茶店の趣が感じられます。ガラスの引き戸を開けて入ると、赤い壁に桜の絵やお品書きなどが掲げられてなんだか楽しげ。温かくのんびりとした雰囲気が漂っています。

桜守の夫妻が心をこめて作る桜の甘味

たっぷりの桜アイスクリームと抹茶シフォンケーキに笑みがこぼれる「おむろ桜」
仁和寺は遅咲きの御室桜の名所として知られることから、「いっぷく茶屋」の名物はなんといっても桜の甘味です。「桜アイス」(400円)をひとたび口に含めば、ふわ~っと広がる桜の芳香。ただ香りがつけてあるのではなく、刻んだ塩漬けの桜の葉が入っているから、ほのかな塩味がアイスの上品な甘みをさらに際立たせています。いつまでも余韻が残る風味です。修学旅行で食べた桜アイスの味が忘れられず、大人になってからお店を再訪してくれることがよくあるそう。 桜アイスクリームに抹茶のシフォンケーキを重ね合わせた「おむろ桜」(600円)も人気です。冷たいアイスとふんわりやわらかなケーキ、ふたつの違った食感が楽しめます。黄緑色の御衣黄桜をイメージした「御衣黄」(700円)は、抹茶アイスクリームとシフォンケーキの二重奏が、上品でやさしい味を奏でています。

ぷっくりとしたかわいい「さくら団子」。湯呑もはんなり桜柄
「さくら団子」(300円)にも桜の葉の塩漬けが練りこまれ、あっさりとした甘さです。風味のある抹茶の団子との相性もよく、弾力があって食べごたえも充分。和菓子屋が試行錯誤して「いっぷく茶屋」のためだけに作っているので、丸い団子の形がほんの少しずつ違うのは、手づくりならではのご愛嬌。テイクアウトもできますよ。 お店を構える醍醐味のひとつは人との語らいと話す安田さん。ご夫妻に桜や京都のことを聞きながら甘味を味わってみてはいかがでしょう。

京都の桜シーズン最後を飾る仁和寺の御室桜

御室桜は、花(鼻)が低いことから愛称は「お多福」さん
3月下旬から始まる京都の桜の競演は、4月中旬に花開く遅咲きの御室桜によって華やかに締めくくられます。樹高2~3mの低木で、根本近くから大ぶりの花をつけるため、桜苑をめぐれば雲海を歩いているよう。樹が高いとなかなか花の香りがわかりませんが、こちらの桜は”におい桜”とも称され、間近で芳香を楽しめるのも魅力のひとつです。 境内には御室桜をはじめ、染井吉野、御衣黄、胡蝶、楊貴妃など、約550本もの桜が咲き誇ります。春を見送るように咲く仁和寺の桜に、また来年も会いたいと思えるとっておきの美しさです。 ○仁和寺(にんなじ) [所] 京都市右京区御室大内33 [TEL]075-461-1155 [時間]御室桜の開花期間8:30~16:30(3月~11月9:00~16:30、12月~2月9:00~16:00) [拝観料]通常境内自由、御室桜の開花期間の特別入山料500円 [HP]http://www.ninnaji.or.jp/

いっぷく茶屋
いっぷくぢゃや
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田中昭美
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